生化学若い研究者の会
2008/08/28 Thursday 22:37:20 JST
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「RNAi依存的ヘテロクロマチン形成機構の解析〜Forward GeneticsとReverse Geneteics」

村上洋太 先生
(京都大学ウイルス研究所 信号伝達学研究分野)

ヘテロクロマチンは凝縮したクロマチン高次構造でセントロメアやテロメアなどに存在し、染色体維持に関わるだけでなく、エピジェネティックな遺伝子発現制御や利己的遺伝子の抑制にも関与している。最近このヘテロクロマチンの形成にRNAi機構が関わることが明らかになり、RNAワールドとエピジェネティックなクロマチン構造制御という思いがけない組み合わせが驚きを呼んだ。このRNAi依存的ヘテロクロマチンの解析には分裂酵母を用いた遺伝学的解析が重要な役割を果たしてきた。実際、我々もRNAi依存的ヘテロクロマチン関連の変異株をスクリーニングするという正統派の遺伝学的アプローチ(Forward Genetics)から、「RNAポリメラーゼIIがセントロメアヘテロクロマチンでRNAi機構を発動させるのに必要なnoncoding RNAを転写するだけでなくその後のsiRNA合成にも関わる」という大変興味深い結果を得ることができた(Kato et al. (2005) Science 309:467-469 )。この実験は加藤君という学生の情熱と努力の結果であった。この結果は、私に、プロテオミクスやデーターベースで得られる情報からスタートするいわゆる逆遺伝学(Reverse Genetics)的アプローチが全盛の今、あらためてForward Geneticsの力を認識させてくれた。 といいつつも、我々はReverse Genetics的アプローチも分裂酵母で試みている。この研究からも最近興味深い遺伝子がいくつか浮かび上がってきている。今回はこれらの遺伝学的アプローチの過程の紹介を通して、正逆を問わず遺伝学の力を理解していただきたいと考えている。

http://www.virus.kyoto-u.ac.jp/virus/singoudentatu.html

<略歴>
1987年 京都大学理学研究科生物物理学専攻を修了。博士(理学博士)取得
京都大学ウイルス研究所研修員を経て同年10月から日本学術振興会特別研究員(がん)として、京都大学ウイルス研究所・伊藤嘉明教授のもとで真核生物の染色体複製の研究を始める。1990年米国スローンケタリング記念がんセンターのJerard Hurwitz 教授のもとに留学、試験管内DNA複製系を用いた研究をおこなった。1993年10月 京都大学ウイルス研究所がんウイルス部門助教授。 染色体複製のほかに、分裂酵母を用いたクロマチン研究もはじめ、現在にいたる。2007年より准教授

 
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