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核内受容体によるepigenetics制御の分子機構
東京大学分子細胞生物学研究所 加藤 茂明 教授
時間:8月1日(金)14:00-15:30
古くはメンデルの時代より、遺伝子の違いが表現形の違いを生み出していることが分かっていた。これを現代の分子生物学の言葉で説明すれば、「DNAの塩基配列の違いが、タンパクのアミノ酸配列の違いとして翻訳され、その結果、表現形の違いを生み出している」と言えるだろう。
ところが、1990年代以降、DNAの塩基配列の違いによらない表現形の違いを生み出す未知のシステムの存在が明らかとなり、俄然、注目を集めるようになった。このシステムこそ「epigenetics」として定義される現象である。たとえば受精卵由来のクローンであるはずの我々の個体も、神経、肝臓、筋肉、生殖細胞など、組織・細胞レベルでは多様な表現形を示している。ではなぜ、同じDNAの塩基配列からこのような表現形の違いを生み出すことが可能なのだろうか?私見ながら、近年の爆発的な研究の発展を基にepigeneticsを一言で説明するならば、「遺伝子のON/OFFスイッチ」であろう。つまり、遺伝子のON/OFFプロファイルの違いが表現型の違いを生み出している、と解釈できる。
一方、2006年のノーベル化学賞はコーンバーグが真核生物のRNA polymerase II(RNAPII)複合体の構造解析により受賞したことは記憶に新しい。RNAPIIは転写を介して遺伝子のON/OFFスイッチとして機能する分子そのものである。ON/OFFを制御するメカニズムは依然その多くが不明だが、(1)DNAのメチル化修飾、(2)ヒストンの修飾が何らかの目印となり転写活性化因子や転写抑制因子と複雑なネットワークを形成してRNAPIIつまり遺伝子のON/OFFスイッチを制御していることが分かりつつある。
今回講師をお引き受けくださった加藤先生は、2003年にビタミンD受容体がWINACという複合体を形成し転写活性化に関わることを示されました。また2007年には、ダイオキシン受容体がユビキチンリガーゼと複合体を形成していることを示されるなど、核内受容体を用いてepigeneticsの分子メカニズムにアプローチしておられます。個体レベルでの恒常性維持機構の解析と遺伝子発現レベルの解析を同時に研究し、世界をリードしておられる加藤先生に、「in vivoとin vitroを結ぶ研究」を語っていただきたきます。
Key Words: epigenetics、核内受容体、遺伝子発現制御
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