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科学・理想と現実
的場 亮 先生
(株式会社DNAチップ研究所)
● 略歴
1991年 日本学術振興会 特別研究員
1993年 財団法人地球環境産業技術研究機構 研究員
1997年 国立奈良先端科学技術大学院大学 助手
2002年 米国立衛生研究所 Research Fellow
2006年 株式会社DNAチップ研究所 研究開発部長
2007年 株式会社DNAチップ研究所 取締役
● 科学との関わり方・モットー
科学は本来、客観的であるべきものである。いろいろな解釈があるにせよ、その本質的なところは誰が見ても答えが変わらない。方法論そのものを議論する哲学との違いはそこにある。データ(結果)に裏打ちされた仮説(理論)の正しさを証明することは、非常に楽しいプロセスである。しかし還元主義的な方法だけではうまくいかないこともある。仮説やモデルが正しくない場合も多々ある。そのような時には一歩身を引いて考えることが重要である。自分の研究を自分のものと考えず、もし他人の研究であったならどのような見方ができるか?いろいろな議論をするときも、自分の考えと違う立場で論理を展開するトレーニングも必要であろう。また、科学には技術の進歩も重要な要素となるが、新しい技術が新しい科学を切り開くこともある。常に新しい技術を取り入れることや、新しい技術を開発することも科学にとって重要なことである。
● 現在の科学に対して感じていること
科学ジャーナリスト、ジョン・ホーガンがThe End of Science を発表してから早10年あまりが過ぎた。その間、彼の危惧をよそ目に、様々な新しい発見により、科学は目覚ましい進歩を遂げている様に見える。しかし本当にそうであろうか?アプリケーションという意味において、科学の果たす役割はこれまでより一層、重要視されてきたことは確かである。研究費に対する考え方もより実用的な題材に重点が置かれているようである。一方、基礎科学に目を向けると、科学が解明すべき問題が本当にあるのか?今後、基礎的な原理原則の発見があるのか?などいろいろな疑問点も出てくる。
● 研究を評価するときの基準
基礎的な分野においては、その独創性が重要である。誰も行っていない研究というのは、質についての評価が難しいが、題材そのものが評価に値すると考えている。アプリケーションを目指した研究については、どれほど実用的かということが評価の対象となる。社会に対してどれほど有用か、どれほど多くの人々がそれによって恩恵を受けるかが基準となるであろう。
● 若手へのメッセージ
物事を深く考えること、多角的に捉えること、ナイーブにならないこと。盲目的な信念も必要ではあるが、世の中はめまぐるしく変化しているので、常にその変化を認識し、その中での自分、というものを考えることが重要である。時には評価の軸そのものを変えることも必要である。昨今の研究者を取り巻く環境は必ずしもよいとは言えないが、楽しく研究ができるような環境を探してほしい。もしかすると、本当に科学を楽しむためには、職業にしないほうが良いかもしれないが・・・
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