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イメージングによる細胞内ATPダイナミクスの計測
今村 博臣 先生
(大阪大学産業科学研究所 さきがけ専任研究者)
● 要旨
アデノシン三リン酸(ATP)は,細胞内の主たるエネルギー通貨であり,細胞の増殖や運動,代謝反応,膜輸送などに必須の役割を果たしている.一方で,ATPはインスリン分泌や神経伝達,細胞の分化などにおいてシグナル伝達物質として働いている事も知られている.しかしながら,生体内のATP量を知るためには,通常組織や細胞を破壊してから測定する必要があるため,生体内のATP量についての空間的・時間的な情報は限定的にしかわかっていない.そこで演者は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した蛍光ATPプローブ(ATeam)を開発した.ATeamはATP合成酵素のεサブユニットがATP結合とともに構造変化する性質1),2)を用いており,ATP濃度に応じてCFPからYFPへのFRET効率が変化する. ATeamを発現させた細胞を顕微鏡でイメージングすることで,単一の生細胞もしくは細胞内小器官内部のATP濃度をモニターする事が可能になった.
本講演では,ATeamの開発戦略と実際の測定例,特に細胞死とATPの関係について紹介する予定である.
● 参考文献
1) Kato-Yamada & Yoshida. Isolated ε subunit of thermophilic F1-ATPase binds ATP. J Biol Chem (2003) 38. 36013.
2) Yagi et al. Structure of the thermophilic F1-ATPase e subunit suggesting ATP-regulated arm motion of its C-terminal domain in F1. PNAS (2007) 104. 11233.
● 略歴
平成 9年 3月 東京大学農学部農芸化学科卒業
平成11年 3月 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻修士課程修了
平成14年 3月 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了
平成14年 4月 科学技術振興機構ERATO「ATPシステムプロジェクト」研究員
平成18年 4月 日本学術振興会特別研究員(PD)
平成19年10月 科学技術振興機構さきがけ「代謝と機能制御」研究者
● 若手へのメッセージ
独立した研究者を目指すのなら,他の人とは違う「自分らしさ」を確立するのが大事だと思います.若いうちは研究室の枠組みや今までのバックグラウンドにとらわれずに,自分が興味を持ったテーマや実験手法,思考法に積極的にチャレンジして下さい.その積み重ねが,徐々に「自分らしさ」となって現れてくると思います.
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