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科学を魅せる!研究所広報の仕事
南波直樹先生
(独立行政法人理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 広報国際化室)
● 要旨
そこのあなた、「大学院を出る=研究者になる」なんて、思ってないですよね。そのような時代はこのあいだ終わりました。理系の大学や大学院で身に付けた知識と経験は、もっとたくさんの活用法があるのです。そこに眼を向けないのは、はっきり言って、あなた損しています。金融トレーディングの世界では、多くの工学系出身者が数理知識を利用して大儲けしているのをご存知でしょう。
いえ、何も研究者になるなとか、金儲けをしろとか、キャリア云々の話をしたいのではありません。「脇目も振らずに邁進する」のは研究者に必要な能力の一つでしょうが、時に社会との関わりついて考えてみるのも悪くないと思うのです。多様な視点をもつことは、研究人生にも多くの示唆を与えてくれるはずです。
このワークショップは、科学と社会の接点、「広報」の仕事をテーマにしています。近年、研究者と市民とのコミュニケーションが重要視され、研究機関や大学には科学広報を専門とするポジションが増えてきています。科学広報には多様な目的がありますが、第一には、皆さんが感じている「科学する喜び」、「分かる感動」をより多くの人に伝えること。あるいは最近の脳死問題に顕著なように、科学の発展がもたらす問題に言及すること。そして、自らの研究の魅力と重要性を的確に伝え、社会からのフィードバックと支持を得ることです。これらは研究者が研究を続け、科学と社会が持続的に発展するためには必要なことだと思います。
本ワークショップでは、科学広報とは具体的にどんな仕事なのか、分かりやすく魅力的に表現するにはどんな工夫が必要なのかを紹介するとともに、科学広報を取り巻く問題、研究者としての関わり方などを皆さんと議論したいと思います。ワークショップの後半には、広報企画の立案や、サイエンスカフェのファシリテーションなど、実際の仕事を体験していただきたいと思います。
● 参考文献
1) 公的研究機関の科学コミュニケーションのあり方 南波直樹 Douglas Sipp
蛋白質 核酸 酵素 Vol.53, No.6 (2008), 768-773
2) 科学コミュニケーション その変遷と多様性を考える 加藤和人 松田健太郎 森田華子
蛋白質 核酸 酵素 Vol.52, No.15 (2007), 1998-2005
3) 若手研究者の能力をひき出す科学コミュニケーション 白井哲哉
蛋白質 核酸 酵素 Vol.51, No.2 (2006), 195
● 略歴
平成12年 東京薬科大学生命科学部 卒業
平成14年 東京大学 新領域創成科学研究科 修士(生命科学)
平成14年 株式会社メジカルビュー社
平成14年 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター サイエンス・コーディネーター
平成21年 理化学研究所 神戸研究所 サイエンス・チーフ・コーディネーター
● 若手へのメッセージ
私がこの仕事を始めてからも、研究者を取り巻く環境は刻々と変化しているように思います。自らの研究を多様な聴衆に伝え、理解してもらう力がますます重要になっています。この機会に、科学広報とは何か、科学コミュニケーションとは何か、一度考えてみませんか。
● オーガナイザーからのコメント
みなさん、研究生活楽しまれていますか?みなさんは実験をしながら何を思われているでしょうか?このデータが出れば論文が書ける、この問題が解決すれば新たな治療法に繋がる、もしくは、自分の予想とは違う結果が出てきて不思議だなぁと思う。一人ひとり違うと思いますが、おそらく誰もが、大変だけど研究って面白い!サイエンスって楽しい!と思われているのではないでしょうか。
その面白みを多くの人に知ってもらう、共感してもらう、そんな仕事の一つにサイエンス・コーディネーターがあります。その仕事内容は様々ですが、本ワークショップでは理化学研究所の広報国際化室でお仕事されている南波直樹先生をお招きして、実際の仕事の一部を実践形式で学んで頂きます。
また、サイエンス・コーディネーターの仕事は伝えるばかりではありません。社会と一緒になって考えていかなければなりません。それはサイエンス・コーディネーターに限ったことではないと思います。現代においていかなる仕事であろうと社会との対話は必要不可欠です。結果のみを生み出すだけでは事実の羅列となってしまいます。その結果が今後どのように発展して、どこに繋がり、社会に何をもたらすのか。そこを全く考えないでいては、せっかくの研究も自己満足に終わってしまいます。
自分の研究を魅力的に語り、伝え、フィードバックを得て、また新たな発見がある。サイエンス・コーディネーターという仕事の理解を通して、楽しみながら研究者としての幅を広げてみませんか。
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