生化学若い研究者の会
2008/07/25 Friday 03:35:33 JST
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竹田潔先生<要旨>

「自然免疫系の活性制御機構」


 外界異物を非自己として認識する免疫系は、自然免疫系と獲得免疫系に大別されます。獲得免疫系では、B, T細胞の抗原受容体が、抗原を外界異物として認識しますが、自然免疫系がいかなる受容体により外界異物を認識するかは長く不明でした。1996年に獲得免疫系の存在しないショウジョウバエで、Toll受容体が病原体の侵入を感知することが発見されました。1997年に哺乳類でもToll受容体のホモログが Toll-like receptor (TLR)として発見され、その後ファミリー分子が次々と発見され、現在までにTLR1-TLR11が同定されています。これらTLRファミリーのノックアウトマウスの解析から、自然免疫系では、TLRが非自己そのものである病原体の構成成分をそれぞれ特異的に認識することが明らかになりました。TLRによる病原体の認識は、樹状細胞、マクロファージなどの自然免疫系担当細胞において、副刺激分子(CD40, CD80, CD86等)や炎症性サイトカイン(IL-12, TNF-α等)の遺伝子発現を誘導し自然免疫系を活性化することがわかってきました。そして、TLRを介した副刺激分子や炎症性サイトカインの遺伝子発現誘導が、T細胞への抗原提示とも相まって、抗原特異的な獲得免疫系の誘導をも司っていることが明らかになってきました。
 そしてTLRを介した細胞内シグナル伝達経路の解析も進み、TIRドメインを有するアダプター群、IRFファミリー転写因子群などの重要性がクローズアップされ、TLRによる病原体認識から自然免疫系の活性化にきたる分子機構の概要も明らかになってきました。さらに、TLRは膜タンパクで細胞外で病原体を認識しますが、細胞質内でTLR非依存性に病原体を認識する機構も明らかになってきています。
 このように自然免疫は、実際の免疫応答と深く関与していることも明らかになりつつあります。もちろん、感染防御において自然免疫系の活性化は重要ですし、その活性制御機構が破綻すると、免疫疾患の発症をも引き起こすことが明らかになってきています。本講演では、自然免疫系が、免疫疾患や感染症において生体レベルでどこまで関与しているのかについて、紹介したいと思います。

 
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