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第1部
「セントラルドグマの合成生物学:遺伝暗号をリプログラミングする」
地球上のあらゆる生物の遺伝情報は、4種類の塩基からなる配列としてDNA中に蓄えられている。そして、DNA分子が複製されることにより、親から子へ、あるいは、親細胞から娘細胞へと遺伝情報が伝達される。個々の細胞内では、DNAの情報がRNAへと転写され、ついでRNA上の塩基配列の情報は、アミノ酸配列の情報へと翻訳されてタンパク質が作られる。この複製・転写・翻訳によるDNA→RNA→タンパク質への遺伝情報の流れが、生物の基本原理であり、一般にセントラルドグマ(中心命題)と言われるようになった。おそらく、生命が現れた初期の段階から、既にこの遺伝情報の流れが原始生命体に備わっていたであろう。それでは、今日に至る進化の過程を経てもなお変わらずに保たれてきたセントラルドグマを、果たして人為的に作り変えることができるのだろうか。このチャレンジングな試みが、セントラルドグマの合成生物学である。それは、セントラルドグマの普遍性の追求であり、さらなる生命現象の理解につながる。さらには、そこから作り出される新たな情報伝達システムは、次世代のテクノロジーの扉を開く。本講演・第1部では、当研究室が開発した人工RNA触媒フレキシザイムを駆使して、遺伝暗号表をリプログラミングし、翻訳系で複数の特殊アミノ酸を含む特殊ペプチドを合成する新技術、RAPIDシステムを紹介する(Nature Methods 2006)。
第2部
「切磋琢磨できる科学者になろう!:日米の大学院教育と研究費申請の相違」
第2部の講演では、私自らが執筆した「切磋琢磨するアメリカの科学者たち:米国アカデミアと競争的資金の申請・審査の全貌」という著書(http://www.kyoritsu-pub.co.jp/shinkan/shin0410_07.html)から、日米の大学院教育と研究費申請における相違を浮き彫りにする。私は、14年間の米国研究生活を通し学んだことを、学生に教育したくて2003年に帰国した。その第一弾として、この著書を2003年に執筆した。また、最近では、日系BPが電子ジャーナルとしてフリー出版しているBJTジャーナル「バイオ研究者のキャリア・スキルアップマガジン」に、毎月エッセイを掲載している(http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/)。本講演では、私の米国での大学で、研究室を運営し、大学院教育に携わった経験談や、NIHの研究費申請および審査での経験談を交えて、これから日本のアカデミアのシステムをどう変革すべきか、さらに最も重要なことは我々科学者一人ひとりが「切磋琢磨できる科学者になる」ために心がけるべきことは何か、議論したいと考えている。
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