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「タンパク質を膜を越えて動かし、また膜に組み込ませる装置の働きと制御」
細胞が構築されるためには、遺伝子産物であるタンパク質がそれぞれあるべき場所に配置されなければならない。この配置に於いて、ゲノムでコードされるタンパク質の30%程度は、翻訳の場である細胞質から膜を越えたり、膜に組み込まれたりという厄介な過程を経なければならない。タンパク質の膜透過・膜組込みの主要な経路は分泌経路であり、それを媒介するのは、ポリペプチド透過チャネルを構成する膜内在性トランスロコン複合体SecYEG(原核細胞細胞質膜)あるいはSec61αβγ(真核細胞小胞体膜)である。原核細胞では分泌タンパク質の膜透過は翻訳終了後に起こることが多く、SecAが駆動ATPase として働く。また、膜タンパク質は翻訳途上にSRP、トランスロコンを経て、膜の脂質層に水平方向に運ばれる。我々は、SecYの発見を契機に大腸菌の膜透過・組込み装置の解析を遺伝学から構造生物学におよぶ手法を組み合わせて行ってきた。この研究の概略、および最近見いだした分泌モニタータンパク質 SecMのユニークな働きを紹介する。SecMはリボソームトンネルと相互作用して翻訳を完結できない配列を持ち、その機能(リボソーム内での伸長アレストとリボソーム外の分泌モニター)は翻訳途上に発揮される。Pro166コドンが指定するprolyl-tRNAはペプチド結合を作ることなくリボソームAサイトで翻訳アレストのエフェクターとして働く。SecMは分泌駆動因子SecAの翻訳レベルを制御すると同時にその生合成をトランスロコンの近傍に局在化させてSecAの機能化を助ける「シスシャペロン」機能をもつユニークな制御因子である。
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