生化学若い研究者の会
2008/07/25 Friday 03:37:01 JST
Home arrow 2007WS見学美根子先生要旨
メインメニュー
Home
生化若手の会とは?
夏の学校2008
第1回 Merck Award
過去の夏の学校
支部活動
キュベット
会則
問い合わせ
リンク
サイトマップ
検索

小脳皮質の層形成を司るニューロンの配置と配線のメカニズム

ほ乳動物の脳を構成するおよそ数千億個のニューロンは、正確で効率の良い回路網を形成するため、発生中最終分裂を終えると誕生部位から移動し、機能的に相関のあるニューロン同志で集合して層構造や神経核を形成する。ニューロンの細胞移動の異常は、層構造の乱れや神経核の欠失による回路の配線ミスを招き、てんかんや精神遅滞、運動失調などを伴う重篤な精神神経疾患を引き起こすため、臨床医学的にも重要な課題である。

細胞移動は共通して、(1)先導端の伸展、(2)細胞質と核(ほか細胞内小器官)の前進、(3)細胞後端の剥離と退縮、の3つの大まかな段階を経る。各段階の制御に細胞骨格と細胞接着に関わるタンパク質が重要であることは明白であるが、繊維芽細胞やリンパ球の培養系で分子機構解析が進む一方で、複雑な脳組織内で起こるニューロンの移動の分子機構は、ごく最近までブラックボックスとして残されていた。90年代終りから脳奇形を伴ういくつかのヒト遺伝性疾患の原因遺伝子が特定され、ニューロン移動を制御するアクチンおよび微小管骨格とその調節分子の役割が明らかにされ始めている。また昨今の顕微鏡技術の革新により、移動するニューロンの起源とダイナミクスについて急速に解明が進んでいる。

我々は小脳顆粒細胞をモデルに移植片および切片培養のライブイメージングを行い、ニューロン移動の細胞・分子ダイナミクスを解析してきた。顆粒細胞は、発生中に直角な方向転換をはさんで小脳皮質を縦横に移動したのち、小脳皮質の明瞭な三層構造のうち最も厚い顆粒層に到達する。これまでの研究で、方向転換の前後で形成される先導突起(移動をガイドする突起)の性質の違いに依存して駆動される移動ダイナミクスが異なることを見出した。また核の移動を制御する微小管骨格の動態を明らかにしてきた。

本ワークショップではニューロンの細胞移動研究の動向について概説し、我々の小脳顆粒細胞の移動に関する研究のデータをお見せしたい。またその過程で偶然発見し、寄り道して解析した分子についても紹介したい。

 

 
Copyright © 1997-2008 生化学若い研究者の会. All Rights Reserved.