このセミナーでは「道具を大切にする」という事がテーマですが、確かに日々の研究生活の中で私たち研究者は数多く、多岐にわたる道具を使っております。道具といっても大型の遠心機、顕微鏡、泳動装置、パソコン機器類から頻繁に使用するピペット、天秤、PHメーターなど道具があります。これらの道具は一つ一つ正しい知識をもって使う事が求められます。当たり前かもしれませんが、道具を使えばいつかは必ず壊れる日が来るという事です。こういう時に私は道具のありがたさをすごく実感します。日常の研究生活で、いつもは使えていた天秤など、どこのラボにもある道具がある日突然壊れた時に、実験は停滞し日頃からもっと大切に使っていれば良かったと切実に思います。また、共通機器が他の人の使用後に、いざ自分が使おうとするとその機器が何か前と違う徴候を示して、メンテナンスに苦労したという経験がだれにでもあると思います。そう訳でセミナーを通じて、身近によく使う道具のメンテナンスの大切さを知る良い機会だと思いました。私自身ももっと道具を大切に扱うような工夫などが聞けたらと思っております。



【熊井広哉先生】 講師要旨:

道具を大事にしよう!


熊井広哉
日本ミリポア株式会社バイオサイエンス事業本部マーケティング部

道具を大事にしていますか?
 職人気質な「道具を大切にする。」という当たり前の言葉がなかなか聴けなくなりました。メジャーリーグで活躍するイチロー選手がこども向けの野球教室の中で「野球が上手くなるには道具を大事にすることです。」と語りかけていたのが唯一最近の記憶でしょうか。かくいう私は、大学の研究室に入ってはじめての実習で、調整されていないピペットを使ったがために3日間の実験をやり直すはめになった記憶があります。「ピペットはガンマンのガンと一緒。ちゃんと手入れしなきゃ駄目だよ。」先輩に冷やかされたのを覚えています。前任者のピペットを借りて実験しただけなのに、いきなりの休日返上でのやり直し実験。道具を正しく大切に扱うことは実験の基本だと痛感させられました。
 今の実験室を覘いてみると、実験工程で必ずと言っていいほどディスポーザブル製品が使用されるようになっています。道具を大切にするなんてタイトルにそぐわない現実があるのですが、道具は消費する時代と判断するのは誤解です。ディスポーザブル製品の多くは、かつて研究室で行われていた手法を変更し、研究者の労力を省き、短時間で効率よく結果を出すために考えられた道具です。開発される前にはその役割を果たす道具がありました。そうした背景を知ってディスポーザブル製品を使うことは、今の実験においても大事なことです。
 本来道具は結果を保証してくれるものではありません(もちろん結果を保証すれば道具が売れるので、それを謳った道具もあるかもしれませんが・・・)。道具の性能を知り、再現性の高い結果を生み出せる道具を選んで使う、もしくはそうした道具を生み出すことによって結果が生まれます。現在の道具は品質管理がなされており、決められた使用条件のもの、一定の結果の再現性が保たれています。ところが、道具の特性に合わない使い方をしてしまうと、再現良く絶対上手く行かないという落とし穴にはまってしまいます。道具との上手な付き合い方が必要になっています。
 弊社ではフィルトレーションを行う各種ノウハウと製品群を有しています。微生物やウイルスの除去から、タンパクの濃縮、水の精製・・・と応用範囲はさまざまですが、本セミナーにおいて、実験結果の再現性を確保するということと、道具の選び方について、弊社が保有しているノウハウの中から、日々の研究でお役立ていただける内容をいくつかお伝えしたいと思います。

http://www.millipore.com/LW


【熊井広哉先生】 略歴

プロフィール

1.略歴
早稲田大学大学院物理及応用物理学部生体制御専攻修了
現在日本ミリポア株式会社バイオサイエンス事業本部マーケティング部
在職中

2.趣味
ウェイクボード、スノーボード、ゴルフ

3.若手科学者に一言
自分を売り込む力のある人が増えてきたなと感じます。1つの専門性だけに頼らない、複数の知識の融合がブレイクスルーを生み出すことはありますが、それだけでは敵わないこともたくさんあります。そんな時自分を売り込む力があると、知識+コミュニケーションで信頼を獲得し、大きな業を成し遂げることが出来るものです。自分を売り込む自信と売り込み先を見つけられていますか?これからの皆さんの活躍に期待しています。


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