8月17日(土)10:30-12:00
運動生化学分科会


何故時間は延び縮みするのか?

---マウス全身自由熱測定からの考察---

講師
山村 雅一 先生(東海大学医学部 分子生命科学1)

はじめに

 大阪大学大学院薬学研究科に在籍中、理学部から関集三先生が薬学部までこられて院生に講義をされた。面白い講義であり、今でも覚えているのは包接化合物と熱の話しであった。その中で特に印象が強かったのは「みみずが這うと熱がでる。その熱は測定できる。」と言われたことで熱とはこんなものなんだと思った記憶がある。
 ここで述べるマウス全身の熱測定は関先生の話を私なりに具体化し測定を繰り返し行った結果である。
 加齢に伴い時間が早く過ぎると誰もが感じる。時間が一定に流れていることを知っていて、身体で感じる時間と時計時間との差が原因である。
 私たちは時計が無い状態で、時間を判断する基準が何かを考えるとき、ここで提出する生命速度の概念を導入すれば説明がつく。速度があり、時が流れれば当然到達した距離が出る。通常私たちは生命速度を感じることはない。しかし時計時間が認識できるようになった時、生命速度と時間から自分が到達し得た概念上の距離が脳へ刻まれる。以後この距離を基準にして身体が感じる時が、流れはじめる。身体の時間は時計時間とは、全く独立している。この身体の時間の流れは15-20歳になったころ始まる。距離から判断する時の流れと時計時間が若いときにはほぼ一致しているが、生命速度が減少し始めると、単位時間内で到達する距離が短くなる。従って距離から判断する時の流れは、時計が刻む時の流れより遅くなる。加齢に伴い、生命速度の低下が進むと、時計時間はどんどん先行するようになる。これが年をとれば時間が早くたつと感じるようになる。
自由熱測定によって 

1. 測定値からcircadian rhythm をImageとして視覚化し得た。
2. 数値から夜行性動物の特徴である夜間の活動状態が把握した。
3. 仕事を数値化することから、一日の平均生命速度を求めた。

 分科会では自由熱測定を中心に、Circadian Rhythm, 身体の速度、身体時間と時計時間、そして行動速度と少し測定からはみだした部分へと進めたいと考えている。

参考文献
1、 運動を理解するための生化学  山村雅一著 丸善出版
2、 Illustrations of the value of calorimetry in biology
    Yamamura et al (1993) Pure & Appl. Chem., 65(9) 1973-1977
3、 流出熱量(自由熱量)を指標とした漢方薬の薬効評価(第5報)
   加齢に伴う流出熱量日内リズムの変化と補中益気湯の効果
    山村雅一、鈴木志保子、高木康博(1997)  和漢医薬雑誌 14、274-277
4、 自由熱を指標とした漢方薬の薬効評価(第6報)
   老化を定義する 山村雅一、鈴木志保子、高木康博(1998) 和漢医薬雑誌 15、364-365

オーガナイザー 平川 伸洋
(東京農工大学 農学研究科 栄養生理化学教室)