プログラム細胞死の分子機構の解明に学ぶ、「研究におけるブレークスルー」 とは?

講師
須田貴司先生(金沢大学医学部がん研究所分子標的薬剤開発センター教授)
死を司るサイトカイン、 Fas リガンドの発見とその機能 三浦正幸先生(大阪大学医学部神経機能解剖助教授)
細胞死を実行する分子の発見: caspase というプロテアーゼの役割 恵口 豊先生(大阪大学大学院医学研究科遺伝子学・助教授、
       科学技術振興事業団戦略的基礎研究「脳を守る」辻本グループ)
細胞死を制御する因子: Bcl-2 オーガナイーザー
嘉糠洋陸(大阪大学医学部神経機能解剖)

プログラム細胞死(アポトーシス)は、今や生物学・医学の中で一大トピックとなっ ています。発生過程における神経回路網の形成・形態形成及び、免疫系の構築、また は疾患における細胞傷害など、多くの生物事象にプログラム細胞死の実行カスケード が関わっていることが知られています。この細胞死の分子機構の解明は、これまでい くつかの分子ファミリーからアプローチが行われてきました。その中心となったのが、 Fas/Fasリガンド・TNFalphaに代表される受容体型の細胞死シグナル、そして Caspaseファミリーと呼ばれる細胞死実行プロテアーゼ、さらには細胞死を抑制する Bcl-2ファミリーといったものでした。その研究の進展の速さは殊更言うまでもなく、 これらの分子のノックアウトマウスはほとんど作成され、プログラム細胞死の生理機 能と生体での制御機構といった次の重要な問題の解明へと進んでいるのが現状です。 皆さんが毎週見開きする一般的に有名なジャーナルでは、これらの分子の話題はまだ まだ事を欠くことがありません。

確かに、ここ数年間の間に細胞死の研究は爆発的に進みましたが、ではその最初の” ブレークスルー”はどのようにして生み出されたのでしょうか?これだけ大きなパラ ダイムを形成するのにふさわしく、必然性が感じられる大きな発見がプログラム細胞 死研究において存在したに違いありません。この分科会では、そのブレークスルーに 深く関わったお二人の講師の先生にお話を伺います。須田貴司先生にはFas/Fasリガ ンドシステムの発見から生化学的な同定・その生理的機能の解析への展開について、 三浦正幸先生には後にCaspase-1と名付けられることになったICE(Interleukin- 1beta converting enzyme)の機能の発見について、当時の細胞死研究の背景を踏まえ ながら、「いかにしてブレークスルーを作り上げたか」に焦点を当てたお話をして頂 く予定です。それに加えて、お二方が次にどんなブレークスルーを狙っているのかに ついて、現在の最前線の研究内容と共に伺います。プログラム細胞死に興味のある方 も無い方も、振るってご参加下さい。

参考文献: