神経系の基本的機能は個体内での情報伝達であり、動物の行動や生理機能を統合するために重要な役割を持つ。特に、ヒトの脳に至っては ”心” の本体とまで言われており、精神活動の源となっている。これまで、脳の各部位と機能の関係は、脳の破壊と失われた機能を照らし合わせることで理解されてきた。しかしながら、高次脳機能がどのような分子メカニズムの上に成り立っているのかについては、ほとんどが未解決である。生命活動を担う様々な分子に関する知見は、生化学、分子生物学の発展とともに蓄積されてきている。しかし、生きている個体内で、各々の分子の機能がどのように統合され、高次機能を発揮しているのかを明らかにしていくことは、今後の生命科学の中心課題である。このような課題へアプローチするため、現在では高次脳機能の分子機構の解明において、遺伝子ノックアウト動物の解析や ”生きたままの脳” の情報を瞬時に知ることのできる、ポジトロンエミッショントモグラフィー(PET )、ファンクショナルMRI、 脳磁図などを用いた研究が盛んに行われている。
本分科会では、適切なポジトロン核種標識化合物を超感度分子プローブとして、生きて機能している状態での分子の動態追跡を行うポジトロンエミッショントモグラフィー ( PET ) による、新規イメージング法を紹介して頂き、このような方法の有効性、並びに高次脳機能・脳特異的代謝の解析について講演して頂く予定である。