テーラーメイド医療におけるゲノム創薬

鎌滝哲也
先生(北海道大学大学院薬学研究科)

オーガナイザー:田名麻子(琉球大学医学部医学科4年) 

 私達は病気になった時、薬を飲みます。薬を服用する際に私達は、熱が下がる、咳・鼻水が治まる、鎮痛・鎮静作用、抗生物質の静菌・殺菌作用、また抗がん作用など様々な効果を期待します。
 しかし、現在販売・処方されている薬は全ての人に同様な効果をもたらすわけではありません。同量でも効果発現の強弱、副作用の強弱に違いが生じ、また薬の効果が全く出ない人もいます。この違いは「個々の遺伝子の違い」によるものだと考えられています。

 体内での薬物動態を決定する過程としては、吸収・分布・代謝・排泄がありますが、これらの中でも特に代謝に関して、個人差を生み出している遺伝子の研究が進んできています。 薬の代謝は主に肝臓で行われますが、そこには多くの酵素が関与しており、中でもチトクロームP450(CYP)は多種の薬物に働きかけることが出来るため、薬物代謝に大きな役割を果たしています。このCYPの遺伝的多型が近年多数見つかってきました。その結果、ある特定のCYP遺伝子に変異がある人は、蛋白である代謝酵素が合成されず欠損したり、変異酵素が作られることにより代謝能が低下してしまいます。

 従って、個人のゲノムデータと薬効、副作用等を関連付け、個々の体質に応じた病気の治療や予防が可能になります。これを「テーラーメイド医療」と言います。遺伝子情報を元にして効果の効きやすさを予測し、効果の高い治療法を選択、副作用の回避、医療費の抑制、またある疾患にかかりやすい遺伝子を持つ人がその病気を予防することも可能になるため、その実現に大きな期待が寄せられています。

今回のワークショップでは、この分野で研究していらっしゃる鎌滝哲也先生に、薬物代謝酵素の遺伝的多型の解析と発がんリスクに関して、また遺伝子診断法の研究について御講演していただきます。健康で薬なんか飲んだことないよ!という人も、よく薬のお世話になっている人も、次に薬を飲むときには「この薬は自分にあっているか?」と考える自分がいるはず!ぜひぜひご参加ください。

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