吉田先生要旨
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回転がエントロピーをエンタルピーに変換する−ATP合成酵素の回転触媒

吉田 賢右(東京工業大学教授)

史上最初、地上最小の酵素タンパク質でできた回転モーターが発見された。このモー ターはF1-ATPaseと呼ばれる酵素であり、ホロ酵素であるATP合成酵素が、イオンポン プとモーター蛋白質の二つの顔を持つ酵素であることがわかった。
F1-ATPaseの中心部では、触媒作用に伴ってガンマサブユニットが物理的に回転して いる。F1-ATPaseは、1分子のATPの加水分解で120度回転するステップモーターで ある。回転のトルクは、負荷の大きさにもATPの濃度にも関係なく、一定である。ATP の加水分解のエネルギーは、ほとんど100%の効率で回転のエネルギーに変換され る。
この酵素の性質を、他のエネルギー変換素子であるモーター蛋白質やイオンポンプと 比較することは、生物機械の「共通の設計原理」と「多様性」を理解する良い例とな るだろう。

参考文献
Yasuda, R., Noji, H., Kinosita, K. Jr., Yoshida, M. (1998) Cell 93, 1117-1124 野地博行、吉田賢右 (1999) 生化学 71, 34-50

東京工業大学資源化学研究所|吉田・久堀研究室


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