[開催報告] 東北支部・学振セミナー2023

東北支部Web担当の山下です。

2023年2月4日に、東北大学農学系総合研究棟およびオンラインにて「学振セミナー2023」を開催しました。

今年の学振セミナーでは、今年度の学振に採択された3名(高塚歩さん(東北大・DC1)、岡崎夏鈴さん(東洋大・DC2)、林真貴子さん(NYU Langone Medical Center・海外学振PD))をお招きし、「申請書採択を目指して、自分の研究をどうアピールするか」というテーマで講演していただきました。

まず、高塚さんには、自身の研究の「独創性」をどこに、どのように見出したのかについて講演していただきました。次に、岡崎さんには、不採択だったDC1と採択されたDC2を比較して浮かび上がってきた「研究計画の具体性と実現可能性」の重要性を中心に、申請書作成のポイントについて解説していただきました。最後に、林さんには、波乱万丈な海外PD生活と、複数の研究テーマからどのテーマを選ぶか、その意思決定のプロセスについて講演していただきました。

高塚さん(東北大・DC1)
岡崎さん(東洋大・DC2)
林さん(NYU Langone Medical Center・海外学振PD)

本セミナーで特に印象深かったのは、岡崎さんの講演で話題になった「網羅的解析の使い方」です。
昨今では、網羅的遺伝子発現解析やスクリーニングをはじめとした大規模解析による因子同定を目指す研究が増えてきたことによって、次々と新しい研究成果が挙げられています。その反面、「網羅的解析」自体が珍しいものではなくなってしまっている現状があります。「網羅的解析を実施し、制御因子を同定する」では通用しにくく、既に解析を実施し因子も同定していた上で、さらに因子の制御系の候補まで発見するところまで計画する必要があるかもしれないことを学びました。なかなかそこまでの状態で執筆に至ることは難しいですが、逆を言えばそれほどの解像度を持って研究計画を立案できれば、ほぼ採択されたといっても過言ではないかもしれません(※個人の感想です)。

今回のセミナーは、およそ3年ぶりとなる東北支部単独の現地開催、ハイブリッドとしては初のセミナーとなりました。そのため、トラブルがいくつも発生し、講師および参加者の皆様には大変なご迷惑をおかけする場面もありました。今後は、より万全な体制で運営を行い、ハイブリッド開催を継続していく所存です。また、交流会や懇親会の開催も随時行っていければとも考えております。

次回は、5月末に開催される日本生化学会 東北支部 第88回例会の若手企画としてセミナーを開催する予定ですので、皆様のご参加をを心よりお待ちしております。