2012/1/6 (金)

お知らせ,キュベット : 若手研究者のお財布事情アンケート結果

若手研究者、特に理系大学院生のお財布事情はどうなっているのでしょうか?その調査のため、生化学若い研究者の会が主催した「生命科学夏の学校」参加者を中心に、若手研究者93名(学部25名、大学院修士課程32名、博士課程28名、研究員8名)を対象とするアンケートを行いました。

調査目的

若手研究者の収入や貯金額のリアルな数字に加え、自己の経済状況に対する生の声を知ることにより、若手研究者の生活実態を伝える。

調査対象

第51回 生命科学 夏の学校参加者を中心とした理系若手研究者(学部生・大学院生・研究員)

調査時期

2011年9月から2011年11月

120107若手研究者のお財布事情アンケート結果



2011/11/22 (火)

お知らせ,キュベット,近畿支部 : 12月4日(日)、冬のセミナーのお知らせ

近畿支部では12月4日(日)に阪大吹田キャンパスにて冬のセミナーを開催致します。
お誘い合わせの上ぜひぜひご参加ください。

 

生化学若い研究者の会 近畿支部・キュベット委員会 共催
冬のセミナー

◆日程
2011年12月04日(日)
13:00~16:50
参加費無料

◆プログラム
日時 12月4日(日)13:00 ~16:50(受付12:30~)
12:30 開場
13:00 「シナプスに記憶をマークするのは何か?」塩坂貞夫 先生
(奈良先端科学技術大学院大学 神経機能科学教室)
14:10 休憩
14:20 「高次クロマチン構造の形成と維持の分子機構」中山潤一 先生
(理化学研究所発生・再生科学総合研究センター クロマチン動態研究チーム)
15:30 休憩
15:40 「きく力+伝える力+分かち合う力→対話力」加納圭 先生
(京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)科学コミュニケーショングループ)
16:50 閉会

◆会場
大阪大学工学部C1棟C-111
HP:http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/accessmap.html#map02

アクセスmap

◆懇親会
セミナー後は千里中央駅周辺にて懇親会を予定しております。
もしよろしければこちらもご参加ください。
懇親会費:3500円(程度を予定)

◆参加登録
懇親会への参加をご希望の方は
下記フォームをご記入の上、12月1日までにmasatakesugita[at]gmail.com(杉田)*[at]を@に変えてください
までご連絡ください。
———————–
氏名:
所属:
身分:
メールアドレス:
懇親会: 参加・不参加
———————–

 

 

 

生化学若い研究者の会、近畿支部ではセミナー開催を中心とした支部活動の運営スタッフを募集しております。
ご興味のある方は支部長の杉田までご連絡ください。

生化学若い研究者の会 近畿支部 支部長
立命館大学理工学研究科D1
杉田昌岳
masatakesugita[at]gmail.com  *[at]を@に変えてください

 

 

生化学若い研究者の会、キュベット委員会では、 実験医学誌「オピニオンコーナー」を始めとして、若手研究者の意見発信活動を行っております。
ご興味のある方は委員長の久保田までご連絡ください。

生化学若い研究者の会 キュベット委員会委員長
京都大学大学院 M2
久保田佐綾
sayakbt[at]gmail.com
*[at]を@に変えてください



2011/10/24 (月)

お知らせ,キュベット : 大学院生と若手研究者のキャリアを考える

生化学若い研究者の会・キュベット委員会・第51回生命科学夏の学校参加者有志は、11月19日(土)にサイエンスアゴラ2011で講演会・パネルディスカッション企画を行います。 みなさんのご参加をお待ちしております。

 

【出展】大学院生と若手研究者のキャリアを考える

 

【日時】11月19日(土)15:00-16:30

 

【会場】産業技術総合研究所臨海副都心センター別館 11階 会議室1

 

【アクセス】http://www.scienceagora.org/scienceagora/agora2011/program.html

または

http://unit.aist.go.jp/waterfront/

 

【HP】http://www.scienceagora.org/scienceagora/agora2011/program/Sb-07.html

 

【内容】

本年3月に起こった東日本大震災により、日本は大きなダメージを受けました。社会の復興のために、今ある産業を支え、新たな産業を育てることのできる人材が求められています。今こそ若手研究者(ドクター、ポスドクを含む)のキャリアを考えるべきときだといえます。 私たちは、本年9月に行なわれた生化学若い研究者の会主催「第51回生命科学夏の学校」のシンポジウムにおいて、若手研究者がキャリアを考える上で重要なことについて議論しました。その結果、「若手研究者のキャリアに関する情報が少なく、不透明である」という意見が寄せられました。 そこで本企画では、キャリアコンサルタントの方や博士課程を経て企業就職をした若手の方をお招きし、若手研究者の就職の実態やケーススタディーについて情報を共有します。また、パネルディスカッションを通じ、若手研究者とキャリアにおける現状と課題について議論します。

 

【講師】

・株式会社アカリク 取締役、大学講師/長井裕樹さん

・博士課程を経て企業就職をした若手(3名)

 

【事前申込】

なし(自由に参加できます)

 

連絡先:東京工業大学 松原惇高(代表) matsubara.t.ag@m.titech.ac.jp

———————-

 



2011/5/18 (水)

イベント,キュベット : 難波美帆先生による参加型ライティングセミナー開催(関東)

2011年5月22日(日)に、生化学若い研究者の会・キュベット委員会でライティングセミナー(@東京)を開催いたします。
当会以外の方の参加も歓迎いたしますので、興味のある方は是非ご連絡ください。(連絡先は下の方に記載しました。)

 ・日時 : 2011年5月22日 13:00~17:30ごろ
 ・講師 : 難波美帆先生(早稲田大学大学院政治研究科)
 ・内容 : 参加型ライティングセミナー
 ・参加費: 無料
 ・場所 : 東京大学理学部2号館(集合は赤門前12:30)
 ・懇親会: 勉強会後に開催することを予定しています。
 懇親会費は3000~3500円ほどを予定しています。
  また、懇親会の参加のみも受け付けています。

 ●当日の流れ(予定)
  13:00-15:30 講演
  15:30-15:45 質疑応答
  15:45-16:00 休憩
  16:00-17:30 参加型のライティングワーク
  18:30ごろから懇親会

  参加を希望される方は、キュベット委員会関田までご連絡ください
  関田:gori2toudai ( アットマーク) hotmail.co.jp



2010/11/17 (水)

イベント,キュベット : サイエンスアゴラ2010出展“人材育成と大学教育の課題”

生化学若い研究者の会・キュベット委員会は、11月20日(土)にサイエンスアゴラ2010で講演会・パネルディスカッション企画を行います。
今年は、上記のテーマで“将来活躍する人材を育成するために大学が取り組むべき課題”に注目します。

・大学は今後、科学分野の教育機関としてどうあるべきか
・私たちはいま、何をすべきか

本企画を通して、一緒に考えてみませんか?
(※ 参加希望者へ出欠のご連絡のお願い(→こちら)

—–
【出展】将来の人材育成のために考える
—大学が抱える課題—
【日時】11月20日(土)15:00-16:30
【会場】産業技術総合研究所 臨海副都心センター
本館・会議室1(4階)
【アクセス】新交通ゆりかもめ「船の科学館駅」東口 徒歩約5分
新交通ゆりかもめ「テレコムセンター駅」徒歩4分 
東京臨海高速鉄道臨海線「東京テレポート駅」徒歩15分
【HP】 http://www.scienceagora.org/scienceagora/agora2010/program/show/C5

【プログラム】

講演(タイトルは変更される可能性があります)
1) 『大学運営の問題点』
関水 康伸先生(株式会社コーポレイトディレクション・大学経営コンサルタント)
2) 『イノベーションのための大学と企業のあり方』
清水 洋先生(一橋大学イノベーション研究センター 専任講師)
3) 『女性研究者支援から考える男女に関わらない科学者育成』
有賀 早苗先生(北海道大学 教授)

パネルディスカッション
「大学が輩出すべき理想の人材の要件とは何か」について、学生、教育者、国、産業のそれぞれの立場からの認識と、立場による違いを明らかにします。さら に、明らかになった違いを生み出す原因を探り、互いに求める要件のミスマッチを解消していくにはどうしたらよいかを議論します。

アンケート
「大学が輩出すべき理想の人材の要件とは何か」について、参加者の皆さまへのアンケート(選択式)を予定しております。
—–

今後の科学や社会を牽引するのは、いま学生である若い世代であり、大学はその育成を担う重要な機関です。この企画では、将来活躍する人材を育成・輩出するために大学が今取り組むべき課題に注目します。
現在の大学は、社会に求められる人材を育成する機関として機能しているのでしょうか? 私たちは、現状の教育の方向性と、社会のニーズとが解離している部分のあることに問題意識を持っています。是非お誘い合わせの上お越しください。

当日、皆さまと会場でお会いできますことを楽しみにしております。



※ 参加希望者へのお願い
この企画は事前予約制ではありませんが、
おおよその人数把握のため、出欠をご連絡頂ければ幸いです。
企画の後、懇親会も予定しております(東京・新橋で18時〜)ので、
そちらの出欠の希望も併せてご連絡ください。
【11月17日(水)まで】にご連絡頂ければ幸いです。
(当日飛び入りのご参加も、もちろん歓迎です!)
==========
・ご芳名:
・ご所属:
・講演・討論会: ご出席/ご欠席
・懇親会: ご出席/ご欠席
==========
連絡先: 小林 晃大(キュベット委員長)
dktts038(at)yahoo.co.jp



2010/6/21 (月)

お知らせ,キュベット : 実験医学7月号へ記事掲載のお知らせ

本日6/21発売の実験医学2010 7月号(羊土社)にキュベット委員会が執筆・編集を行った記事が掲載されました。

Opinion-研究の現場から
第1回 若手研究者が考える,科学と社会の関わり

ぜひ、書店で手にとって読んでいただければ、と思います。詳しい情報は羊土社のページをご覧ください。

 



2010/1/29 (金)

キュベット : 201001 “生化学若い研究者の会”の活動の歴史とこれから

 

 生化学若い研究者の会は,生命科学分野の研究者を目指す若手研究者や大学院生・学部生を中心に構成される団体である.その最大のイベントが夏の学校であり,毎年,全国各地から100人以上が集まり合宿形式の研究会が開催されている。2010年,夏の学校は記念すべき第50回の開催を迎える (http://www.seikawakate.org/) .

 本稿では,生化学若い研究者の会と夏の学校の歴史を振り返りながら,これからの夏の学校になにが求められているのかを考えたい.

 生化学若い研究者の会の活動の歴史に目を向けると,それぞれの年代での研究の動向や研究者にかかわる社会問題について積極的にかかわってきたことがうかがえる.夏の学校では,研究の動向について2つの主要な企画のなかであつかってきた.ひとつは,参加者全員が聴講し議論するシンポジウムである.”利益か? 真理か?―科学が追及するもの” (2002) など,生命科学にかかわる大きなテーマを複数の立場の演者の意見を交えて多角的な視点からとらえようとする試みや,”大学院で何を学ぶ? どう学ぶ? ” (2008) など,研究環境における教育問題を議論する試みがなされてきた.もうひとつは,個別の話題にそって学ぶ分科会 (2003年以降は,ワークショップと改称) である.参加者は興味のあるセッションに分かれて,第一線で活躍する講師による講義を聴講する.分野は多岐にわたり,分子生物学,神経科学,免疫学,再生医科学など,さまざまなテーマがあつかわれてきた.

 一方,生化学若い研究者の会は研究環境をめぐる社会問題に対しても取り組んできた.とくに,1970年から1980年にかけて活動は活発となり,1973年には後援組織である日本生化学会に対して,いわゆる,オーバードクター問題についての要望を投げかけている.その結果,1974年には日本生化学会から日本学術会議にむけてオーバードクター問題についての申入れが行なわれた.また,女性研究者問題についても取り組んでいる.この問題については,大規模なアンケートを行ない,女性研究者自身および採用する立場への意識調査をして問題を的確にとらえるための行動をとってきた.その後,女性研究者の地位改善についての要望が日本学術会議から出されたり,全国シンポジウムが行なわれたりもした.これらを振り返ると,生化学若い研究者の会は研究現場の立場からその時代におけるもっとも取り組むべき課題をみつけ,解決にむけた行動を起こしてきたといえる.

 研究の動向と研究環境をめぐる社会問題についての議論を50年という長きにわたってつづけてきたことは,生化学若い研究者の会の注目すべき特徴のひとつである.生化学若い研究者の会では,過去のスタッフや参加者と現役とが夏の学校に集まり,過去から現在,そして,未来をみすえた研究の動向と研究環境をめぐる社会問題についての議論を行なうことがこの特徴を夏の学校に生かす道だと考えた.今後,研究分野を担うことになる若手にとって,現在や未来の研究が過去の数々の発見の延長線上にあることを再確認することは,新たな視点を得るための重要なきっかけとなるのではないだろうか.また,現在の研究環境をめぐる社会問題について,当時の問題に全力で取り組んだ人たちからは,現役の世代とは違った視点から有用な意見が出てくるのではないだろうか.このような考えのもと,学部生からOB・OGまで幅広い層の参加者を予定した第50回夏の学校を企画中である.

 生化学若い研究者の会は,夏の学校をはじめとしてさまざまなイベント活動を行なっており,1966年以来,40年以上にわたって本誌キュベット欄での執筆を行なってきた.埋もれがちな若手の声を研究者社会に汲み上げるという目的をもって,研究環境をめぐる社会問題の発信の役割を担ってきた.また,近年は,若手の情報発信を担う立場として新しい活動にも挑戦している.最近では,科学コミュニケーションや理科教育問題などにも活動の幅を広げ,科学書の出版 (光るクラゲがノーベル賞をとった理由,日本評論社) やサイエンスアゴラ (http://www.scienceagora.org/) への出展も行なってきた.本誌の休刊にともない,キュベット欄は一時休止となる.しかし,われわれは若手の情報発信を担う立場として,さらなる活動の場を獲得し、有意義な発信をつづけていきたいと考えている.

 

生化学若い研究者の会キュベット委員会

E-mail:pne-cuvette@seikawakate.org



2009/12/29 (火)

キュベット : 200912 ポスドク問題の解決:後編 理工系教育の見直し

 

 生化学若い研究者の会キュベット委員会では,ポスドク問題についての考察をつづけている.前号では,バイオ系産業などの規模の小さい産業のニーズに対して博士号取得者が供給過剰であり,産業構造に応じた博士課程定員の調整 (数の調整) が必要であることを提案した.今号では,理工系教育の見直し (質の調整) について論じたい.

 

 バイオ系博士の就職難の原因のひとつとして,スキルが主要産業のニーズに合致していないという問題がある.バイオ系博士は分子生物学などの高度な専門性を持つ一方で,工業や化学,情報などの主要産業に通用するスキルをもっていないことが多い.これは,バイオ系ほどではないにしても,ほかの自然科学系の分野にもあてはまる問題であろう.このことから,理工系学生の工学,化学,情報などの理工系基礎学力を向上させることが必要であると考える.

 理工系基礎学力が高いとどのような利点があるのだろうか.企業研究者として活躍する場面を想像してほしい.企業で採用され,はじめは大学院やポスドク時代に学んだ専門に関係する部署に配属されたとしても,定年まで同じ部署にいるとはかぎらない.多くの場合,企業研究者にはその時代の技術展開に応じたスキルチェンジが求められる.つまり,企業研究者には高い専門能力も重要であるが,それ以上に,スキルチェンジにたえられる理工系人材としての汎用性の高さが必要なのである.このとき役に立つのが,学生時代に学んだ理工系基礎学力だ.ところが,とりわけバイオ系博士はそれらの知識が十分ではなく,スキルチェンジに対応することがむずかしい.このことが,企業から敬遠される原因のひとつとなっているようである.

 

 なぜ,バイオ系博士のスキルチェンジは困難なのか.たとえば,大学院進学の場面において,工学系や化学系,情報系を学んだ大学生がバイオ系の大学院に進学する例はよくあるが,バイオ系からほかの分野に進学する例は稀である.このことからも,バイオ系の学生のスキルチェンジが困難であることがうかがえる.工学の基礎である物理に注目しよう.バイオ系の学生は高校で物理を履修していない場合が多く,大学進学後も物理をほとんど学ばない.平成15年度の東京大学教養学部理科2類の1年生を例にあげると,高校で物理を未修の人向けの必修科目として,前期と後期にそれぞれ1回の物理の授業があるが,必修として課せられる分野は力学と電磁気学だけであり,波動や熱力学については選択科目でしかない.もともと物理を苦手とする学生が,選択科目でわざわざ物理を選ぶことは期待できない.結果として,たとえば”ドップラー効果”など,日常的な物理現象すら知らないバイオ系博士もめずらしくない.これは東京大学にかぎった話ではなく,ほかの大学でも枚挙にいとまがない.

 

 このような現状を鑑み,筆者らはつぎの提案をする.第1に,理工系の学部学科の垣根をとりはらって学部4年生までを教養課程とし,全ての学生に理工系基礎科目を必修科目として課す.これにより,高校卒業時に特定分野を選択しなければならない現状を是正し,幅広い知識をもつ理工系人材を育成することができる.第2に,専門課程を修士課程からとし,大学院入学試験を共通試験とする.これにより,大学院受験競争が過熱し,大学生は理工系基礎科目を”真面目に”勉強しなければならなくなる (同時に,これは学部受験競争を緩和する) .さらに,このことで,競争を勝ち抜いた大学院生の人材価値の向上が期待できる.もっとも,専門課程への進学時期を遅くすることは稀有な才能を埋没させてしまう懸念もあり,飛び級制度の積極的な拡大も必要と思われる.

 

 近年,学際領域研究や産学連携の事例が増え,異なる分野の人材交流がさかんになっている.ポスドク問題を解決するだけでなく,社会に求められる理工系人材を育てることが大切なのではないだろうか.ただし,民間や教育現場でできることには限界がある.理工系教育の改革には様々な摩擦や抵抗が予想されるが,真の科学技術立国をつくるために,政府の勇気ある采配を期待したい.

 

  • 平成21年度現在,”熱力学”については必修化している

 

生化学若い研究者の会キュベット委員会

E-mail:pne-cuvette@seikawakate.org



2009/11/29 (日)

キュベット : 200911 ポスドク問題の解決:前編 産業構造に応じた博士課程定員の調整

 

 博士号取得者やポスドクの多くは定職に就くことがむずかしい.いわゆる”ポスドク問題”とよばれるこの問題は,”大学院重点化”や”ポスドク1万人計画”といった政策の失敗に起因する.これはもはや学生個人や民間レベルでどうにかできるものではなく,政府主導による抜本的な改革が求められている.

 最近,国は100人程度のポスドクに持参金をもたせて企業に派遣するという事業をはじめた (科学技術振興機構) .また,6月6日の報道各社のニュースによると,文部科学大臣が全国の国立大学に博士課程の定員の削減を求めたという.政府ややっと重い腰を動かしてこの問題に取り組みはじめたのだろうか.しかしながら,博士号取得者はすでに数万人の規模で膨れあがっており,この程度の政策では焼け石に水といえる.

 生化学若い研究者の会キュベット委員会では,学校基本調査 (文部科学省) や工業統計 (経済産業省) などを利用してポスドク問題について考察してきた.その結果,ポスドク問題の解決には,産業構造に応じた博士課程の定員の調整 (数の調整) と,理工系教育の見直し (質の調整) が必要なのではないか,という2つの考えにいたった.本稿では前者について議論し,後者については次号で議論する.

 

 われわれは,まず,学校基本調査を利用して博士課程の学科系統を”電気通信・情報系”"機械系”"化学・材料系”"バイオ系”の4つに区分し,それぞれの博士課程に属する学生数を集計した.その結果,単年度の博士課程に在籍する約15000人のうち,電気通信・情報系博士は約1000人,機械系博士は約300人,化学・材料系博士は約500人,バイオ系博士は約8000人であった.残念ながら,学校基本調査では”分子生物学”などのバイオ系新興学科系統の多くが”その他”に分類されてしまい,正確な統計情報は得られない.これを勘案すると,実際には,バイオ系博士は8000人を優にこえていると思われる.

 つぎに,博士号取得者の”受け皿”の状況を探ってみた.博士号取得者の就職先として有力なのは,一部上場企業の研究開発職である.これらを”電気・通信産業”"機械産業”"化学・材料産業”"食料品・医薬品産業”の4つに分け,それぞれの博士号取得者の新卒採用数を集計した.その結果,電気・通信産業では約100人,機械産業では約50人,化学・材料産業では約200人,食品・医薬品産業では約100人であった (就職四季報2009,東京経済新報社) .

 では,バイオ系博士のうち,いったい何人が就職できるのだろうか.ポスドクへの就職人数を約2000人 (科学技術政策研究所の2006年度調査によるとバイオ系ポスドクは約6000人,平均任期を3年として概算) ,一部上場企業 (食品・医薬品産業) の新卒採用を約100人とすると,就職できるバイオ系博士は2000人強となる.つまり,”就職先がない”バイオ系博士は6000人程度と見積もられる.実際には,ベンチャーなどの未上場企業や文部科学省の統計には表われない”隠れポスドク” (パートタイムやテクニカルスタッフなど) ,医師,大学教員などに就職する者も存在するので,全員が路頭に迷うわけではない.しかし,化学・材料系博士について同様の試算をすると,”就職先がない”人数はゼロであった.このことから,少なくとも化学・材料系博士に比較すると,バイオ系博士の就職状況はきびしいものであることが示唆される.

 バイオ系博士は明らかに供給過剰であり,早急に削減する必要があると思われる.そもそも,バイオ系製造業の従業員数は全業界の15%程度でしかなく,博士号取得者が過剰となることは事前に予期できたはずだ.これからの博士課程の運営には,博士号取得者の就職先に配慮して分野ごとに個別の対応を行なう”産業構造に応じた博士課程定員の調整”が重要であると考えられる.

 次号では,さらに,”理工系教育の見直し”について論じる.

 

生化学若い研究者の会キュベット委員会

E-mail:pne-cuvette@seikawakate.org



2009/10/29 (木)

キュベット : 200910 学振をとおして研究をかえりみる:後編

 

 先月号にひきつづき,日本学術振興会特別研究員 (学振) DC2審査中の大学院生SさんとTさんにインタビューを行なった.学振の申請書の記入欄は”申請資格等”"現在までの研究状況”"これからの研究計画”"研究業績”の4つのパートに分かれている.さらに,”これからの研究計画”には,研究背景,研究目的・内容,研究の特色・独創的な点,年次計画,の4つの項目がある (http://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_sin.html) .このような申請書をはじめてみる人の多くは,一見して,むずかしそうだと感じるだろう.そこで,2人には,実際に申請書を執筆したときに感じたことについて聞いてみた.

 

【Q】実際に申請書をみたとき,記入欄が膨大であることや,記入事項のほぼすべてを自分で組み立てる必要性があることに驚いたのですが,SさんとTさんはどのように感じましたか?

【S】それぞれの項目の記入欄が膨大である反面,項目のあいだに内容の重複があると感じました.たとえば,申請書には”研究目的・内容”と”研究の特色・独創的な点”とを記す項目が独立に用意されています.自分の研究の重要性をアピールするためには,どちらの項目にも研究目的や研究の特色,独創的な点を盛り込みたいと思いました.内容の重複はさけられませんが,審査員を飽きさせないためにも,項目間の差別化をはかることが”カギ”となると感じました.

【T】自分の場合は,一般的にまだ広まっていないような用語の多い分野の研究を行なっており,むしろ,文字数を減らす工夫が必要だと感じました.スペースが足りず,用語の説明だけでおわりかねないと危惧したからです.

 

【Q】それぞれに違った印象をもたれたようですね.Sさんの場合,項目間の差別化はどのように工夫しましたか?

【S】差別化のまえに,まず,統一化をはかりました.具体的には,審査員が研究の全体像をくり返し俯瞰できるように,それぞれの項目に研究の一連の流れ (目的,内容,特色など) を取り入れました.そのうえで,項目ごとの要求にしたがって詳細に説明するようにしました.

 

【Q】Tさんは,逆に,記入欄が不足しているようでしたが,専門用語をかぎられた文字数で理解してもらうための工夫とは,どのようなものだったのでしょうか?

【T】説明が必要な専門用語の使用をなるべくさけ,使用する言葉を統一し単語数を減らす努力をしました.こうして,自然と読み手にあったやさしい文章になっていきました.

 

【Q】話を聞いて,あらためて申請書作成のたいへんさを実感しました.今後,申請を行なう予定の学生にとって,なにか文章作成のトレーニングとなりえそうなことがありましたら,アドバイスをお願いします.

【S】学会発表の経験が役に立ったと思います.発表要旨を書くことが文章作成のトレーニングになったことにくわえ,異分野の研究者からの質問をとおして,これまでとは違った観点から自分の研究を見直すことができました.

【T】自分の文章を他人にみせてフィードバックをもらうことが有効です.また,この際,なにをいわれても,文章が批判されているのであって,自分が批判されているわけではないという心構えをもつ姿勢を忘れてはならないと思います.こうして文章作成のむずかしさを痛感すると,他人の文章を読むときに自然と書き手の気持ちになって読み,参考にするようになります.また,専門外の人にむけた文章の手本として,『日経サイエンス』の記事を参考にしました.

 

 以上,2号連続で学振についてのインタビューを行なった.本稿が学振への申請を考えることのみならず,日々の研究の意義を考えるきっかけに少しでもなればうれしいかぎりである.また,学振の採用者一覧が閲覧可能である (http://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_saiyoichiran.html) .もし,採用者が近くにいた場合,話を聞きに行ってみてはどうだろうか.

 

清水聡一郎 (東京大学大学院理学系研究科)

E-mail:pne-cuvette@seikawakate.org










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